みなさんこんにちは!シマムラストリングス秋葉原のカギヌシです。
弦楽器セルフチェック講座も5時間目!
今回も大切な楽器や弓の状態をセルフチェックしてみましょう。
弓の先端「チップ」の状態は大丈夫ですか?
弓の先端にはチップという白いパーツがついていて、弓の先を保護するという役割があります。
また、弓の毛は先端を木のくさびで止めているのですが、このくさびをくさび穴に入れる時は、ある程度きつめに押し込みます。
その際くさび穴が変形しないようにチップがガードしてくれるのです。もしチップがなければ毛替えの度にくさび穴が変形し、弓が傷んでしまいます。
このように大切なチップですが、なかなか見逃しやすいところでもありますので、今回はチップの点検箇所をご説明いたします。
チップの剥れ
チップが一部剥がれている例です。この状態なら隙間から接着剤を流し込むことで簡単につけることが出来ます。
チップの先端が欠損
先端が欠けていて弓の保護の役目を果たしていません。欠けてしまった場合交換が必要になります。
くさび穴の周辺に亀裂・欠損
こちらの写真はくさび穴の右上角から亀裂が入っています。
こちらの写真は普段毛で覆われて見えない場所ですが、めくると真ん中に亀裂が入っています。
お客様から毛替えだけお願いしますということでお預かりして点検すると・・・こうなっていることがあります。
こうなってしまうとくさびを押し込む際、くさび穴が変形してしまうので、毛替えを行うことが出来ません。
毛替えをするためにはまずチップの交換が必要になります。
チップの種類について
チップに使われる素材は実はいくつかあります。ここではそれぞれ特徴をご紹介します。
プラスチック
安価なため安い弓についていることが多いです。
安さは当然魅力なのですが・・・やはり材質がやわらかいので、弓の保護やくさび穴の変形を防ぐという本来の目的からすると少し力不足と感じます。
牛骨
とても堅い材質ですので、丈夫で長持ちし、チップの材料には非常に適しています。
象牙
牛骨ほどではないですが硬さと、そして粘りのある材質です。
現在はワシントン条約により輸入が規制されていますので、代替品としてマンモス象牙が一般的に使われています。磨くと美しいつやが出るということもあり高級な弓に使用されることが多いです。希少品なだけに値段が高いという欠点もありますが、弓のチップとしては最良の素材です。
修理価格について
参考にシマムラストリングス秋葉原でのチップ交換費用(チップ代込み)をご紹介します。
種類 | 分数バイオリン | 7/8~4/4バイオリン | ビオラ | チェロ |
---|---|---|---|---|
プラスチック | ¥5,400 | ¥7,500 | ¥7,500 | ¥9,100 |
牛骨 | ¥12,600 | ¥12,600 | ¥12,600 | ¥16,600 |
マンモス象牙 | ¥16,000 | ¥16,000 | ¥16,100 | ¥20,900 |
チップはどれもほとんど見た目は変わりませんが、機能面を見ると牛骨以上をぜひオススメ致します。
いかがでしたか?定期的な状態チェックは良い音・良い弾き心地には欠かせません。
状態が気になった時は記事を見返しながら状態を見てみてくださいね!
シマムラストリングス秋葉原のカギヌシでした。